1,4-butanediolからの伝言

この時期は1,4-butanediol(融点約20℃)が瓶の中で凍っていることが多い。「多い」と書いたのは、ちょっとした不純物や結晶核の有無によって凍り方に差が出るから。実際、つい最近まで、同じ場所に置いてある2本のうち1本は完全に凍結していて、もう1本はずっと液体のままだった。違うメーカーだったので、少し品質を疑っていたほどである。ところがある日、何かの拍子にその凍らないほうの瓶の中身は完全に凍ってしまっていた。逆に、元々凍っていたほうの瓶は、何度か溶かして使っているうちに少し凍りにくくなった。もっとも、多少凍りにくいぐらいのほうが、大きな結晶が育つので見ていて楽しいのだが。
先日、液面近くに大きくて真っ平らな結晶面が現れていたので、瓶を傾けたり揺すったりして濡らしてみたところ、液体は弾かれるようにして流れ落ち、乾いた結晶が再び露出した。氷が水を撥くイメージがないのでちょっと意外であったが、あるいは固-液-気の三相で平衡が成り立つ場合にはこれが普通なのかもしれない*1。とは言え、やはり直感に反するような物事を見ると興味を引かれる。神秘的なものはどこにでも転がっている。

*1:物理化学が苦手なのでよく分かりません。