シリコンウエハーの表面親水化処理

実験でシリコンウエハーの表面を親水性にする必要があったので、文献とネットと伝聞による数少ない情報を頼りにやってみた。過激な試薬に過激な条件で、吹きこぼれたりしたらどうしようかと思っていたが、思いのほか穏やかでひと安心。ウエハーの処理も、見た目ではちゃんとできてるっぽい。
調べていて困ったのが、実験室内で実際にどうするのかがなかなか分からないこと。半導体を扱う人や無機化学分野の人には常識的な話らしいのだが、有機化学屋の私にはそもそも手持ちの器具で出来るのかどうかもよく分からない。ただ、今回はそれほどの清浄度は求めていないので、思いつく方法でやってみた。せっかくなので、以下に方法をメモしておく。専門家のツッコミ歓迎。

洗浄液の調製

ビーカーで30%過酸化水素水10mLに濃硫酸40mLを少しずつ添加。氷水で冷やしながら怖々加えていった。発熱してるのかどうかはよく分からない。

ウエハーの処理

500mLビーカーの底にシリコンウエハーの小片を入れて、そこにさっきの洗浄液を入れる。ウエハーが重なるのは気にせず、浮いたウエハーはテフロンコーティングピンセットで沈める(以下、器具は全てガラス製かテフロンコート)。時計皿で蓋をして、オイルバス中100℃で加熱。小さい泡が少しずつ出た。10分ぐらいでいいらしいけど念のため1時間加熱してから放冷。蒸溜水を入れたシャーレに回収し、洗液が中性になるまで洗浄。

廃液処理

器具やウエハーを洗った水に氷水を加えて約500mLにし、使用後の洗浄液を少量ずつ加えて希釈。これに10%亜硫酸ナトリウム水溶液を、ヨウ化カリウムでんぷん紙が着色しなくなるまで加える(ほぼ加えてある過酸化水素に相当する量で完了)。最後に重曹で中和して廃棄。こういう高校化学のお手本のような反応も久しぶりにやると楽しい。