それは本当に温暖化のせいなのか。

一つ思い出した。
今朝のテレビで鳥インフルエンザの話題をやっていたのをぼんやりと音だけ聞いていたのだが、話の締めにはやっぱりお決まりのように温暖化だか異常気象だかという単語が出て来た。まあこのコメンテーターは、言う事が残ってないのに締めを振られて仕方なく投げやりにコメントしただけだと思うが、それにしても近頃は、「温暖化」が何でも説明してくれる便利な言葉として使われすぎなんじゃないかと思う。
もちろん、地球規模の環境に目を向けさせることは、マスコミの態度としては大いに結構なことではある。しかし、何でも温暖化のせいにしてしまうことで、本当の原因が見過ごされてしまっては困る。温暖化でほぼ確実に言えるのは氷が溶けることぐらいで、温暖化したぶん日本で暖冬になるといった単純な話ではない*1し、そもそもCO2が増えて温暖化が起こるかどうかも完全にコンセンサスが取れているわけではない*2。新しい病気の流行について言えば、温暖化は確かに考え得る一つのリスク要因ではあるだろうが、とても因果関係が言えるようなものではない。
そんな遠い未来に実現できるかどうかも怪しい対策を語るよりも、より起こりそうな可能性を考え、検証し、広く伝えることが、マスコミの役割ではないだろうか。海外からさまざまな動植物が流入し、人の往来も増え、また大陸では衛生管理が不十分なままで開発が進んで行く中で、新しい病原体がいつ発生しても、いつ入って来ても不思議ではない。そして、それを防ぐためにするべきことは、温暖化対策以外にもいくらでもある。

*1:最近は予測の精度も上がってきてはいるが。地球シミュレータとか。

*2:この辺は各々の論者の政治的・経済的バックグラウンドも絡んできてややこしいけど。