医療と自己責任論

鬱病に自己責任論はなじまない - いつも感想中で引用されてるブコメ

うつ病だろうが皮膚病だろうが糖尿病だろうが、適当に医者行ってクスリもらえば治ると考えるほうがおかしい。治す/やりくりするのは自分だよ。

について。
「やりくりできるという条件下でどう振舞うべきか」という意味では、まあ言わんとすることは分かるし正しいアドバイスだとは思うけど、そう考えるほうがおかしいというのはやっぱり言いすぎだろう。やりくりできない状況なんていうのはいくらでも有り得る。うつ病では病気自体が本人だけではやりくりできない状況を生みがちなので周囲が協力してほしいというのはid:hobo_kingさんも書いているが、それ以外にも地域的、経済的、人脈的などさまざまな要因によりやりくりすることは困難になり得る。産婦人科なんかは都市部であってもかなりやりくりできない状況になってきていると言っていいのではないだろうか。やりくりできるというのは無条件に前提にできるほどありふれた状況ではない。引用したような物言いは、「やりくりできる」という暗黙の条件が往々にして忘れ去られて現状を肯定する方便になってしまいがちであり、何だか危ういなあと思う。
ついでに言うと、これが福祉の問題であることを忘れてはならないだろう。「賢い消費者になりましょう」と「賢い患者になりましょう」はイコールではない。賢くない消費者が損をすることはやむを得ないことかもしれないが、賢くない患者が健康を損なうようなことは――すくなくとも憲法が変わらない限りは――許されるべきではない。