化学者の条件

私は失敗や成功が精神論で語られるのが基本的に大嫌いだし、それに何よりこういうことを言うのはこっ恥ずかしいのだが、化学をやるうえで必要不可欠なのは、自分の作る物、自分の測定するデータへの「愛情」ではないかと、(未遂も含め)単純なミスの多い後輩を指導していて最近少し思っている。課題を一つ投げてそれについて全責任を負う形にしてみれば少しは成長してくれると思うのだが、仕事の進捗に響いては困るし、事故を起こされてはもっと困るので、なかなかそういうわけにも行かない。データが信用できなければ、結局私が追試をすることになるだろうし。
あと、これはただの思いつきだが、企業などで化学の合成や分析をやる人間を採用する時には、一度中和滴定をやらせてみれば良いと思う。もちろん慣れの差はあるだろうが、久し振りでもたついたとしても、気をつけるべきところを理解してちゃんと丁寧にできるかどうかは見れば分かるし、基礎をきちんと教育されているかの目安にもなるだろう。